テキストサイズ

恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「…………っ!!」



あ、朱莉さ………っ


あたしがもう一度腕を大きく伸ばそうとした


その後ろから




「朱莉!!」



「…………!」




ユーリさんがあたしの横を通り過ぎて


アスファルトに頭を強く打ち付けた、彼女の傍へ駆け寄った。




「……朱莉……っ」




………一瞬で



あたしの目には、2人以外何も映らなくなって



あたしの耳には、ユーリさんの声以外何も聞こえない。



まるで海の中に放り込まれたみたいに



足元が……深く、深く沈んでいく。



さっきまでの落ち着いた様子が嘘のように



彼女を呼ぶその声も



彼女の頬に触れるその手も



………尋常じゃないほど、ユーリさんは震えていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ