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恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「……ユーリさん……」



あたしがぽつりと呟いた呼びかけにも、ユーリさんは振り返らない。


……あたしが大好きな手は、彼女の頬と体をしっかり支えていて


ユーリさんの腕の中で、朱莉さんは………



「…………っ」



…………!!


朱莉さんの顔を見た瞬間


ハッと我に返った。


あ、あたし………っ



「……朱莉さん……!」



体と心の金縛りが解けたみたいに


あたしは飛びつくように駆け寄った。


……肩で大きく息をして、大量の汗が流れ出ている。


意識があることに少しだけ安堵して


あたしはユーリさんの腕に触れた。



「……ユーリさん……!」

「…………!」

「119番!
救急車呼んでください!」

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