恋してキスして抱きしめて
第18章 心からの祈り
急激に、ドクドクと脈が激しく打ち出して
俺は携帯をベンチの下に落とした。
その音がしたのと、受付の看護師がこっちを指さしたのが同時で
その男は、俺の方に顔を向ける。
「…………」
………目が、合った。
と思った瞬間
肩で大きく息をして、ドカドカと足音を立てて近付いてくる
その姿を見て、俺は一瞬で体が固まった。
………いや、待て。
待て、ちょっと待て。
「……はぁっはぁ……っ
あ、あなたが………!!」
……お父さん、じゃねぇよな。
あぁ、それは確実に違う。
だって俺、学生の時に何度も朱莉の父親に会ってたし。
い、いくらなんでも、50歳を超えてるとまでは言わねぇけど………
い、言わねぇけど………!!
「あなたが家内を助けてくださったお方ですか!!」
「~~~~!!」
「はぅぁぁぁ、なんとお礼を申したらよいか!!
ありがっ……ゴッホゴホ!!ぐはぁ!
あ、ありがとうございやす!!」