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恋してキスして抱きしめて

第18章 心からの祈り

「どうもどうも、本当にありがとうございました!」



朱莉の旦那は、巨体を揺らして俺に頭を下げた。



「救急車で運ばれたと聞いた時はひっくり返りそうになりましたが
親切な人に助けていただきまして、本当に良かった!」

「…………」

「拘束させてしまってすんません!
どうぞお帰りになってください!」



………なんだ?


さっきからその軽い感じ。


明らかに自分の中で苛立ちが募っている。


普段チャラけてる俺が言うセリフじゃねぇかもしれないが


焦って来たんだろうけど、なんだかその態度が気にくわねぇ。


……まぁ、この男にとって俺は、単に道端に居合わせた通報者にしか思ってねぇわけだし


“ 家族 ” が来たことで、俺の出番は当然終わるわけだけど



「………あの」



病室のドアを開けようとしたそいつは振り返った。



「俺、同級生なんです」


「………え?」


「大学の時の。

……朱莉さんの、友人です」

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