恋してキスして抱きしめて
第18章 心からの祈り
“ 心のバランス ”
旦那が働く診療所に、安定剤を求めにきたその頃から
朱莉は、それが崩れてしまっていると旦那は言った。
そこから、どういった経緯で2人が結婚まで行き着いたかは、当然ながら聞けなかったけど
朱莉を一生支える覚悟で
今までも、これからも傍にいようと決めていると
さっきとはうって変わった静かな口調で、旦那は俺に語り続けた。
「……原因が分かれば、治る兆しにも繋がるんだが。
大学時代が1番楽しかったというだけで、頑なに話そうとしなくてね」
「…………」
「ただ、その大学時代に関わった人達から、嫌がらせを受けていたことは朱莉の両親から聞いていて。
きっと、どこかで何かがねじ曲がってしまったことは確かなんだ」
………言葉が、出てこない。
俄かに、手足の震えを感じる。
「朱莉自身が、何か大きな罪でも背負っているように感じているから
私はただ、“ 大丈夫だよ ” と
無駄に明るく、そう言ってやることしかできないんだよ……」