恋してキスして抱きしめて
第18章 心からの祈り
「……んだよそれ……っ」
俺は思わず1歩前に出て、旦那の右肩を掴んだ。
大学の頃、楽しそうに笑う朱莉の笑顔が浮かび上がってくる。
「さっきから何淡々と語ってんだよ!
保護を目的って……自分で何言ってるか分かってんの!?」
「…………」
「そんな場所に行かせるなんて、おかしいのはてめぇの方だろ!!
朱莉はな……」
「君に何が分かる」
俺の左腕を振り払うと
朱莉の旦那は静かに怒りを露わにした。
「君は、大学時代の朱莉しか知らないだろ。
それは過去でしかない。
妻の現状は、君が想像するより遥かに深刻なんだ」
「………っ 俺は、この前……!」
「 “ 家族 ” に見せる顔と
“ 他人 ” に見せる顔は違うんだよ」
「…………っ」
「……君は、他人なんだ」