恋してキスして抱きしめて
第19章 本当の、サヨナラ
………終わりにしよう。
心が、次に進む為に………
「………遅くなったけど
結婚、おめでとう」
「…………っ」
「末永く、お幸せに」
ありきたりな言葉だけど、嘘偽りのない心の声。
俺の目を見て、俺と握手を交わした朱莉に
きっと、届いたはずだ。
「じゃあな」
今度こそ、立ち上がろうとした
その時だった。
………カタッ………
「…………?」
病室の入口の方から、物音がして
俺が顔を上げると
「…………!!」
少しだけ開かれた扉の隙間から
茶色の長い髪が、ふわっと揺れるのが見えた。