恋してキスして抱きしめて
第20章 ただ、想うだけで
………泣き過ぎて、頭がガンガンする。
数時間前、あたしがさよならと告げた時の、ユーリさんの悲しい顔
それでも、抱きつきたい気持ちをぐっと堪えて走り去ってしまった。
“ 俺は、千夏が好きなんだよ ”
「…………」
……ユーリさん……
それならどうして
朱莉さんに………
「…………!」
階段を下りていく途中で見える、1階のリビングから
間接照明だけの、オレンジ色の淡い光が漏れているのが見える。
さっきの物音もそうだし、やっぱり誰か起きてるんだ。
でも、もう深夜なのに………
「……おばあちゃん?」
1階の廊下に着いて、そのまま半分開いていたリビングのドアを押すと
……そこには………