恋してキスして抱きしめて
第20章 ただ、想うだけで
「………っ
酷いのは、お兄ちゃんでしょ?」
……こんな気持ちは初めて。
家族であるお兄ちゃんに対してはもちろん、誰に対しても
“ 怒り ” なんて感情を持ったことはなかったと思う。
それでも
どうしようも出来ないこの想いを、吐き出さずにはいられない。
「……どうして……?」
「…………」
「どうしてユーリさんとあたしを会わせたりしたの……!」
………敵わない。
叶わない。
ユーリさんを見つめる朱莉さんの、ほっとした笑顔と涙
きっと、何かに悩んでいた朱莉さんを、ユーリさんが救ったんだ。
そして
朱莉さんの手を握って
微笑むユーリさんは
今でも、きっと………