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恋してキスして抱きしめて

第4章 朝倉家の天使、ご対面

“ 俺の妹が誰かといい恋愛ができるように、ユーリに指導してもらいたい ”


“ 娘が幸せになれるように、是が非でも君の力を貸してほしい ”



………小さい頃から母親がいねぇなら


可愛い妹・可愛い娘を心配する気持ちは分からなくもない。


ただ、そんなに大事なら自分達で何とかしようと思わないのかね?


おととい夏輝本人にも聞いた、俺の素朴な疑問は


昨日、顔を上げた常務が放った一言で、即刻解消された。




*  *  *




『……娘は、兄の夏輝を異常なほど慕っていてね』

『…………!!』

『小さい頃からずっと、夏輝の後ろばかりくっついていたんだ』



………うん、そーいう話よくあるよ。


お兄ちゃんが大好きで、お兄ちゃん以外誰も好きになれないの~!的な。


だけど、それってドラマや漫画の中の話だけだと……



『夏輝も昔から何を考えてるか分からないところがあって。

それでも、大学の時に家を出たのは、少なからず娘が影響してるんじゃないかと……』


『…………』


『普段家に居ない時間が多い私ですら、娘は夏輝以外に恋愛をしたことが無いと分かるんだ』


『ど、どうしてですか……?』


『……娘が夏輝を見る目。

死んだ妻が、私のことを微笑みながら見つめていた時の視線とそっくりで……』

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