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恋してキスして抱きしめて

第4章 朝倉家の天使、ご対面

………汗、止まらないんですけど。



お互いソファに座って向かい合ったまま、暫く重い沈黙が続いていたけど


額に拳をあてて俯いていた常務が、ゆっくりと体を起こした。



『夏輝が海外を放浪してる間も、娘に男ができる気配は一向に無くてね。

私はそれでも仕方ないとは思ってたが、さすがに何年もこの状態であることには危機を感じて……』



……夏輝がハタチで大学を中退した時、8つ年下の妹は小学6年だ。


それから今現在までの8年間、一番盛んな青春時代に、兄以外に恋愛感情を抱いたことがないって


そんなこと、普通ありえねぇだろ……



『そんな中、まさに昨日の夜。
突然夏輝から電話があったんだ。
“ 真の救世主を見つけた ” って』

『…………!』

『ユーリくん。
君ならきっと、娘の元に白馬の王子を連れて来てくれると……!』



………はぁ!?


常務は鋭い目をキラキラさせて、いきなり立ち上がると


俺の隣りに座り直し、両手をガシッと掴んできた。

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