恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
「だいたい、千夏のことが好きだって言ってくれたのに
どうしてその場から逃げてきちゃったの?」
大学のマークが入ったうちわでパタパタと扇ぎながら、陽菜ちゃんが聞いてくる。
……あの時は、半ばパニックになっちゃって……
「……足が、勝手に動いちゃったの。
ユーリさんが、 “ ごめん ” って言ってて……その続きを聞くのが怖くて……」
あの時の場面を思い返すだけで、胸がぎゅうっと締めつけられて痛くなる。
「でも、夏輝さんとお話して、ちゃんと自分の気持ちを再確認したんでしょ?
どうして連絡しないのよ」
「……で、出なかったら……?」
「え?」
「電話、あたしからって分かったら出てくれないかも……っ」
「そんなわけないでしょ。
ちゃんと話をしなきゃ……」
「そ、それに……!」
陽菜ちゃんの怪訝そうな顔が見えて
あたしはぎゅっと目を瞑った。
「……ユーリさんの方からも
連絡くれないんだもの……」