恋してキスして抱きしめて
第22章 青春フルスロットル
………イスから立ち上がって、手を伸ばした陽菜ちゃんだったけど
あたしをじぃぃっと見つめると
「………!」
その手で、あたしの両手をぎゅっと握った。
「……陽菜ちゃん……」
「さすがに、部外者の私が勝手に電話かけるなんてしないけどさっ」
陽菜ちゃんはふっと笑って、手を繋いだままイスに座った。
「ねぇ、千夏。
8月の半ばに、ゼミの飲み会に行った日のこと覚えてる?」
「……えっ?」
「千夏が酔っ払って、大学の駅までユーリさんが迎えに来てくれたでしょ?」
陽菜ちゃんが穏やかに話すのを聞いて、記憶が蘇ってくる。
あの日は、気付いたらユーリさんのマンションだったけど
後日、陽菜ちゃん始め水泳部のみんなが、ユーリさんがすっごく素敵だったって、口々に言ってたんだ。