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恋してキスして抱きしめて

第4章 朝倉家の天使、ご対面

*  *  *



は・ら・た・つぅ~~~!!(腹立つ)


自分の発言をいきなりひっくり返すところなんて、夏輝そっくりだ。


正真正銘の親子だな!




常務との一部始終を振り返ったところで、時既に遅し。


目的の駅に着き、電車を降りた俺の孤独な任務は始まってしまった。



「笑えるわー。
2日前に来たばかりなんですけどー」



夏輝と飲んだ居酒屋がある小道を、横目でチラッと見て


俺は大通りを真っ直ぐ進み、数年ぶりにその正門の前に立った。


………そう、まさかのまさか。


夏輝の妹は今、夏輝と俺と同じ大学に通っているらしい。


………妹。


そこまでして、大好きなお兄ちゃんを感じたいのかね。


俺達がここに通ってたのは7年も前だし、この有名大学の狭き門をくぐったにも拘らず、あいつは1年ちょっとで消えた脱走兵よ?


その意思を継ぐとでもいうなら立派なこった。


何度目かの溜息を漏らしてから、銀杏並木が続く道に足を踏み入れた。

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