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恋してキスして抱きしめて

第4章 朝倉家の天使、ご対面

「…………!」



3つ並んだ背凭れのあるベンチのうち、1番左側だけ銀杏の木が影を作っていて


重なり合う葉が揺れるその下で、1人の女が読書をしていた。


彼女までの距離はここから10メートル程で、まさに探し求めていた通りの光景が目の前に広がっている。


……それでも、俺はしばらくその場から動けなかった。



(……あれが、夏輝の妹……!?)



ここからでもハッキリ分かる……日焼けして真っ黒のあいつとは対照的な、透き通るような白い肌。


少しだけ茶色がかったロングヘアが、サラサラと風に揺れている。


シンプルな黒のワンピースも、蛍光色を好む夏輝のファッションとは正反対だ。


……そ、想像してたのと全っ然違うんですけど……


あの父親と兄貴と同じ血筋だから、もっとイケイケでギャルっぽい感じかと思ってた俺。


真逆の容姿に戸惑いつつも、少しずつ近付き、彼女の目の前に立った。



「…………」



………天使?

………人形?


目の前で本に集中している彼女は、ここまで来た俺の存在に気付かず微動だにしないから


一瞬、マジでそんな風に思ってしまった。


……つーか、この女……




「……すっげー可愛い」

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