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恋してキスして抱きしめて

第24章 ずっと、好きだった


夏輝は忌々しげに目線を落とすと、溜息を漏らした。



「俺のことなんて眼中にもくれず、堂々と目の前でイチャつきやがって。

あんな残酷な場面を見せつけられるんだったら、まだチャラいままの方がマシだった」


「…………っ」


「あー、もうこれ以上見てらんねぇって

自分の好きな奴が、他の奴と笑い合うのが耐えられなくて

大学2年の夏、泣く泣く日本を出たんだ」




………夏輝が大学を中退した理由


8年経った今、その事実を知ったところで


今の俺は、ドン引きですという感想しか言えない。




「放浪を続けている時、朱莉と別れたことを誰かから聞いたけど

……2人の相思相愛な姿は、覚えていたから

シングルになっても、男である俺の想いは受け取らねぇだろうって、もう諦めてた」


「…………」



「だけどせめて……

寄り添えなくてもいいから、近くに居られるにはどうすればいいかって考えて

千夏とくっつけることを、思いついたんだ」


「…………!!」

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