テキストサイズ

恋してキスして抱きしめて

第6章 恋愛ビギナー

………おとといの水曜日。


カフェを出る前に携帯の番号を交換して、正門まで送る道の途中で


軽い会話の流れから、土曜に再度逢うことが決まった。



*  *  *



『ちーちゃんはさ、どんなデートがしたいの?』

『え!?ど、どんなって……』

『恋する相手が出来たとしたら、どこに行きたい?』

『…………』

『無難に買い物とか映画とか~。
あ、夏だし海とかプールでもいいか…』

『は、はな……!』

『はな?』



千夏はピタッと足を止めると、バッグの中をゴソゴソと漁り、俺に向かって読んでいた本を差し出した。


その表紙に書かれたタイトルは……



『花火?』

『………はい!』

『花火を見に行きたいの?』



俺がそう聞くと、千夏は真っ赤にした顔をぶんぶんと縦に振った。


……なんかこいつ、本気でいちいち可愛いな。



『今週末の連休、どっかでやってるかもな』

『……えっ…?』

『まずは俺と予行練習しようよ。
デートごっこして遊ぼうぜ』



俺の提案を聞くと、千夏は花火みたいな笑顔をぱあっと輝かせて


本をぎゅうっと握り締めて、その場でジタバタと足踏みをした。



………だから


その大袈裟すぎる仕草、ヤケに心臓にクるんですけど……



*  *  *

ストーリーメニュー

TOPTOPへ