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恋してキスして抱きしめて

第6章 恋愛ビギナー

………俺の目の前で小さく震えるその姿を見て


またしても、天使かと思った。


そんなわけあるかって自分でツッコミたいけど、マジでそう見えたんだ。



「……浴衣、着てきたの?」

「……は、はははい……っ///」



やわらかい水色の、紫陽花柄。


ところどころに、小さな金魚や水玉が散りばめられている。


帯から下駄・巾着まで、鮮やかな青で統一されていて


………この浴衣はこの女の為に作られたんだと、意味不明なことまで考えてしまう。



「おばあちゃんが張り切って着付けしてくれて……
あ、あたしはユーリさんの迷惑になる気がして、家を出るまで私服と悩んだんですが……」

「迷惑?なんで?」

「げ、下駄とか履きなれてなくて……
歩くの遅くなっちゃうから……」



巾着を握り締めて、千夏はぎゅっと目を瞑った。


……カフェの時も、その仕草してたから癖なんかね。



「…………」



サイドアップでまとめた髪。


とんぼ玉のかんざしから垂れた、ビーズのチェーンが揺れていて


俺は思わずそれに手を触れた。

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