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恋してキスして抱きしめて

第6章 恋愛ビギナー

俺と並んで大人しく歩きながら、千夏はまた顔を赤らめた。



「こうして花火を見に行くの、小さい頃に家族と行って以来初めてで……」

「え?初めて?
デートじゃなくても、友達と行ったりしただろ?」

「…………」



………ん?


なんか急に元気無くなっちゃったよ?


さっきまでの明るい笑顔をさっと曇らせて、千夏は俯く。



「……あたし……
高校の時まで、友達はほとんどいなかったんです」

「…………!」

「大学に入ってからは、頑張って自分から話かけるように心がけてたんですが……
今度は嫌われることも多くなっちゃって……」



………ウキウキしたりシュンとしたり、忙しい子だな。


こんなピュアで可愛いのに、嫌われる要素なんて全然無いと思うけど~~


同性からの僻みでもあるのかね?


母親がいないことも関係してるとか?


ま、あんまりこっちから突っ込んで話をさせるのは可哀想か。



「なぁ、ちーちゃん」



トボトボと歩く千夏の顔を覗き込む。



「友達って、頑張って作るもんじゃないぜ?」


「…………!」


「本当の自分を隠してまで、無理に人に合わせたりしたら疲れちゃうじゃ~ん」


「…………っ」


「いいのいいの。

頑張らなくて、いいんだよ」

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