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恋してキスして抱きしめて

第6章 恋愛ビギナー

「ユーリさん」



隣りから、小さな声が聞こえてきて


振り向くと、顔を夜空に向けたまま、千夏がふっと微笑んだ。




「……花火、キレイですね……」


「…………」


「大きくて、華やかで、ドキドキします」




………素直な感想を言葉にする千夏を見ていると


封印したはずのあの頃の想いが、意思に反して込み上げてくる。




「……ちーちゃん」




千夏は空から視線を戻した。




「この夜空を、よく心に焼き付けておきな」


「……えっ……?」


「……いつか、本当に好きな男と花火を見る時

今と比べ物にならないくらい、綺麗に見えるから」


「…………!」


「………きっと、感動するぜ」

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