ずっと君を愛してる
第17章 希望
どんなに思い悩んでも、必ず陽は沈みまた昇り、そして時は流れていく。こんな日の空模様を花曇り、というのだろうか。桜は見当たらないけれど、きっと日本は桜が咲く頃だろう。
日本語は天気ひとつにしても色々な表現がある。外国語と比べて初めてその美しさにはっとする。そんなことに気づくこともなく話していたのに。
桜のかわりに花屋の店先にはスズランの鉢植えが並ぶ。花の名前に疎いぼくが知っているのは見る限りこれだけだった。
どんよりした空に、白く小さな花はとても頼りなく揺れる。花言葉なんてものは気にしたこともないけれど、あるんだろうな。
ベルクールのオフィスに着くと彼は新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。出勤は昼前でいいとぼくに言いながら自分はもっと早くに来ている。本当にフランス人にはあまりいない仕事人間だ。
今日は珍しく撮影がなく、カメラの手入れでもしようかとデスクにつくと、ベルクールがぼくに声をかけた。
「これ、読んだかい?」
「写真コンクールの記事が載ってましたね。たしか」
結局、まともに読まないまま忘れていた雑誌。
「そう、それでグランプリをとったフォトグラファーが写真集を出したらしくてね。日本人なんだ。flukeっていう写真集を知ってるかい?」
「fluke…?シズル・サトナカ…?」
「そうだ。知らないわけがないよな。知り合いが送ってきたんだ」
「写真集…」
その写真集は、何年か前に静流が開いた個展の作品と新しく撮られた作品が収められていた。また世界中を旅したのだろうか、たくさんの色が溢れていた。
日本語は天気ひとつにしても色々な表現がある。外国語と比べて初めてその美しさにはっとする。そんなことに気づくこともなく話していたのに。
桜のかわりに花屋の店先にはスズランの鉢植えが並ぶ。花の名前に疎いぼくが知っているのは見る限りこれだけだった。
どんよりした空に、白く小さな花はとても頼りなく揺れる。花言葉なんてものは気にしたこともないけれど、あるんだろうな。
ベルクールのオフィスに着くと彼は新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。出勤は昼前でいいとぼくに言いながら自分はもっと早くに来ている。本当にフランス人にはあまりいない仕事人間だ。
今日は珍しく撮影がなく、カメラの手入れでもしようかとデスクにつくと、ベルクールがぼくに声をかけた。
「これ、読んだかい?」
「写真コンクールの記事が載ってましたね。たしか」
結局、まともに読まないまま忘れていた雑誌。
「そう、それでグランプリをとったフォトグラファーが写真集を出したらしくてね。日本人なんだ。flukeっていう写真集を知ってるかい?」
「fluke…?シズル・サトナカ…?」
「そうだ。知らないわけがないよな。知り合いが送ってきたんだ」
「写真集…」
その写真集は、何年か前に静流が開いた個展の作品と新しく撮られた作品が収められていた。また世界中を旅したのだろうか、たくさんの色が溢れていた。