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ずっと君を愛してる

第6章 君は君で

静流は火を止めに行くつもりはないらしく、再びソファの上に丸くなってしまった。
仕方なくぼくは立ち上がり、用意された二人ぶんのマグカップにインスタントコーヒーの粉と砂糖をいれ、お湯を注いだ。ふわっと、コーヒーの香りがたちこめる。

「はい」
熱いコーヒーを静流の目の前に置く。
「…ありがとう」
「ぼくは、前の静流でもエッチなこと考えたよ」
「え?」
「あれだけ一緒にすごして、何も考えないわけがないだろ。ぼくだって健全な男子学生だったんだ」
「ほんとにほんと?」
「ほんとにほんと」
「どのくらい?」
「かなり」
「いつも?」
「いつも、ってわけじゃないけど…時々」
「時々…」

そこまで言ってやっと静流は機嫌を直したようだった。…こういうところは変わってないんだな。

「静流のままで安心した。すぐへそを曲げてほくを困らせるところ」
「違うもん…」

ぼくは隣に座る静流の肩を抱いてキスをした。
何も考えなかった。
止まっていた時間が動き始めたようだった。二人の、少なくともぼくの中の時計は再び時を刻み始めた。
ぼくたちの2回目のキスはコーヒーの味がした。舌と舌がやわらかく絡み合う。抱いた肩に力を込めて静流の体を引き寄せた。前よりも近く。
ここにいる。
静流はちゃんとここにいる。

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