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そばにいて、そしてキスをして

第4章 戻れない

電話を切って1時間後、真緒は川沿いの中ほどを目指して歩いていた。伸びた髪を少し巻いて、久しぶりにスカートとパンプスを履いた。松田や洋輔が見たら驚くだろう。
それよりも、彼らが見慣れない格好をして倉沢に会おうとしている自分に少し罪悪感を感じた。
出掛ける直前、真緒は日課になっている鏡での全身チェックをした。

よし、大丈夫。どこにもない。

真緒は久しぶりにスカートから伸びた脚に、傷痕がないか確認した。

倉沢は先に来ていた。Tシャツの上にカジュアルな黒のジップアップブルゾンをはおり、黒い細身のパンツを穿いていた。顔が小さく、手足が長い。その辺のモデルよりもキレイだ。

「お待たせしました」

後ろから真緒が声をかけると、倉沢は素早く振り返って微笑んだ。
その瞬間、真緒もパッと笑顔になる。

「そこに車を停めてあるんです。行きましょう」

川の向こう側のアウディを指して言った。
倉沢は真緒をエスコートし、助手席のドアを開けた。

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