そばにいて、そしてキスをして
第4章 戻れない
倉沢が支払いを済ませ、席をたち、車に乗った。
道路に出て走り始めたちょうどその時、雲行きの怪しかった空からは、ついに大粒の雨が降りだした。
「急だな…」
早い動きのワイパーでも追い付かないくらい、雨は激しかった。
倉沢は路肩に車を寄せ、パーキングブレーキを踏んだ。
「ちょっと待ったほうが良さそうかな」
そう言ってシートベルトを外した倉沢に、真緒はフロントガラスに打ち付ける雨の音に掻き消されそうなほど、小さな声で言った。
「……しました」
「え?」
「今朝…倉沢さんに…キ…」
その時、倉沢が助手席のヘッドレストに左手を回して真緒にキスをした。
「……!」
ひんやりした感触が、真緒の全神経を支配した。
「…この唇だ。夢じゃなかった」
倉沢がほんの少し唇を離して言った。
「確かめたかった」
そしてまた、唇を重ねた。
今度は、深く。
外の様子が何も見えないのは、雨のせいだけではなかった。
道路に出て走り始めたちょうどその時、雲行きの怪しかった空からは、ついに大粒の雨が降りだした。
「急だな…」
早い動きのワイパーでも追い付かないくらい、雨は激しかった。
倉沢は路肩に車を寄せ、パーキングブレーキを踏んだ。
「ちょっと待ったほうが良さそうかな」
そう言ってシートベルトを外した倉沢に、真緒はフロントガラスに打ち付ける雨の音に掻き消されそうなほど、小さな声で言った。
「……しました」
「え?」
「今朝…倉沢さんに…キ…」
その時、倉沢が助手席のヘッドレストに左手を回して真緒にキスをした。
「……!」
ひんやりした感触が、真緒の全神経を支配した。
「…この唇だ。夢じゃなかった」
倉沢がほんの少し唇を離して言った。
「確かめたかった」
そしてまた、唇を重ねた。
今度は、深く。
外の様子が何も見えないのは、雨のせいだけではなかった。