そばにいて、そしてキスをして
第6章 心が緩む場所
「……あ」
えーと、シャワーを借りて甘いカフェオレを飲んで……
真緒は白い天井を見上げながら思い出していた。また、倉沢の部屋で眠ってしまった。ダイニングテーブルに突っ伏して眠っていたはずが、また倉沢のベッドに運ばれていた。
隣を見ると倉沢が向こうを向いて眠っていた。窓の外は雨のせいで薄暗いが、まだ夕方というには早い時刻だった。
今朝パリから帰ってきたばかりだというのに、真緒がこんな姿でマンションの下にいたせいで倉沢に迷惑をかけてしまった。
「疲れてたよね……貴司くん」
思わず真緒は、眠っている倉沢に『貴司くん』と呼びかけてしまった。その時目を閉じたままの倉沢が寝返りを打って、真緒を抱きしめた。
真緒の傷が痛まないように、そっと背中に左腕をまわし、右手で髪を撫でた。
無意識だったのか、すぐにまた倉沢は眠りに落ちていった。
バルコニーを打つ雨の音がずっと聞こえている。その音に耳を傾けていると松田のことも仕事のことも遠い国のことのように思えた。ずっと、倉沢の隣でこうしていたいと思った。
二人分のTシャツを通して伝わってくる倉沢の体温を感じていると、真緒はなぜか安心した。
会ったばかりの倉沢になぜこんな気持ちを抱くのか、真緒は不思議に思っていた。でもきっと、そういうのを『運命』というなら真緒は信じてみたいと思った。
(理系の女が『運命』なんて言ったら笑われる)
そっとベッドを抜け出してリビングに出た。
えーと、シャワーを借りて甘いカフェオレを飲んで……
真緒は白い天井を見上げながら思い出していた。また、倉沢の部屋で眠ってしまった。ダイニングテーブルに突っ伏して眠っていたはずが、また倉沢のベッドに運ばれていた。
隣を見ると倉沢が向こうを向いて眠っていた。窓の外は雨のせいで薄暗いが、まだ夕方というには早い時刻だった。
今朝パリから帰ってきたばかりだというのに、真緒がこんな姿でマンションの下にいたせいで倉沢に迷惑をかけてしまった。
「疲れてたよね……貴司くん」
思わず真緒は、眠っている倉沢に『貴司くん』と呼びかけてしまった。その時目を閉じたままの倉沢が寝返りを打って、真緒を抱きしめた。
真緒の傷が痛まないように、そっと背中に左腕をまわし、右手で髪を撫でた。
無意識だったのか、すぐにまた倉沢は眠りに落ちていった。
バルコニーを打つ雨の音がずっと聞こえている。その音に耳を傾けていると松田のことも仕事のことも遠い国のことのように思えた。ずっと、倉沢の隣でこうしていたいと思った。
二人分のTシャツを通して伝わってくる倉沢の体温を感じていると、真緒はなぜか安心した。
会ったばかりの倉沢になぜこんな気持ちを抱くのか、真緒は不思議に思っていた。でもきっと、そういうのを『運命』というなら真緒は信じてみたいと思った。
(理系の女が『運命』なんて言ったら笑われる)
そっとベッドを抜け出してリビングに出た。