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そばにいて、そしてキスをして

第2章 変化

翌日も朝から晴天だった。定休日の常であるランニングに出かけようと真緒は野菜ジュースだけの朝食を済ませた。
昨日、結局ルバーブは売れ残った。
鍋の中にはジャムが出来上がっている。ランニング帰りにパンでも買ってブランチにしよう。真緒はそれだけで気持ちが上がるのだった。

スマートフォンのランニングアプリを起動して、軽くストレッチをする。学生時代は陸上部に所属していただけあって、走り出すとどこまでも行ける。この趣味も、松田からすると理解できないらしい。そう考えると、真緒と松田の共通点はイネだけなのだ。(真緒の大学院時代の研究はイネの耐虫性だった。洋輔も然り)
川沿いをゆっくり目に走り始めた。ここは平日休日問わずランナーが多い。車両通行が禁止だからだろう。色とりどりのウェアがあちこちに見えた。
緑が気持ちいい。
いつか、自然に囲まれた土地で、好きな野菜を作って暮らしたい。真緒は若い女性とは、およそかけ離れた願望を持っているのだった。話したことはないが、これなら松田も興味を持つかもしれない。
すこしペースを上げようとしたその時、前方からひときわ美しいフォームで走ってくる人物がいた。
倉沢だった。

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