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アクマにアソコを貸しました

第2章 これってモテ期じゃないですか

「いけない、もうこんな時間だ!」

朝からペースを乱されて、うっかりのんびりしてしまった。

皿とカップを流しに置いて、慌ただしく準備をする。
いつもより手抜きのメイクで玄関を出ようとすると

「おい、待て」

腕を掴まれた。

「何よ、私、急いでるのに…あっ鍵!?」
「違う、ちょっと他人の話しを聞いたらどうだ?そうじゃなくて



出掛けのキスは――?」


…………………
バコン!!

鞄の面で奴の美しい顔面を殴打してやった。

家に残すと鍵が閉められない事に気づいて、無言で玄関からケィシを押し出して鍵をかける。


見れば高い鼻梁が赤くなって、痛そうに顔に手を当ててしかめっ面をしていた。

ちょっとやり過ぎたかな?そう思ったのも束の間
「外でキスしたかったのか?」

呆れたようにそう言われて、謝る気も失せた。


「バカじゃないの!?」

フンッと特大の鼻息を残して駅へ急いだ。




――
「親切で言ってやったと言うのに…まぁ電車の中でいきなり突っ込まれる事はないとは思うが」

ケィシがそう呟いた事など知る由もなかった。

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