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アクマにアソコを貸しました

第1章 不可抗力じゃないですか

強盗さんはパニックで固まっている私の上着をまさぐって、今や忘却の彼方におわしましていた楕円形のものを探り当てた。

「見〜つけた」


摘まんで取り上げられたところまでは良かった。


ホントそこで退散出来てれば…退散て、私んちだけど。

掌中の楕円形をじっと見つめたまま、動かないイケメン強盗さん。


あの…?


「割れてる…?」

「割れてる、んですよ」

「………」

「………」

スゥッ――

室内の温度が下がった気がして、思わず辺りを見回した。


いきなり左腕を掴まれた。
!!!「痛っっ」


反射的に左腕に視線をやる。


グイッ


顎に手を添えられて上向きにさせられた。


「…えが……のか?」


え?声が小さすぎてよく聞こえなかったですけど…


「な、んですか?警察呼び…」
恐怖で喉が狭まって、掠れた声しか出てこない。

私の言葉を遮って、一層顔を近付けた。鼻と鼻がくっつきそうだ。


「オマエガ ヤッタノカ ト、キイテイルンダ」


今や間近で私を見下ろす瞳は、濃い紫をしている。


――その瞳に魅入られてしまった

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