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素直じゃない契約

第12章 2度目

恭介はあたしのタオルを外し、
ひょいっとかついだ。


「ちょっ…!」


車の中の席にすっと下ろしてもらい、
恭介が隣へ座った。

あたしはYシャツのボタンを閉めて
身なりを整えた。

車は発車し、その振動に揺られていた。
車の中はしーんとしている。

あたしが…謝った方が良いの??


「あれが…お前の母親か…??」


最初に口火を切ったのは恭介だった。

あたしは何も言わずこくっとうなずいて見せた。


「そうか…。苦労してたんやな」


そう言って恭介はあたしを抱き締めた。


「そのハートの…身に付けとるんか…。
…まぁええわ。無事でよかった、心臓飛び出るかと思たで」


恭介はぎゅっと強く抱き締めた。
あれ…この香り…


「恭介…今日屋上来た…??」

「…風邪引くから次からは屋上で寝るんやないで」


やっぱり。
制服についていた香りは恭介だったんだ。
なずなが来るまで…一緒にいてくれたのかな…。


「誰にでも…何とでも思われてもええって思ってた…。
邪魔な奴がおったら消して、それで反感買ってもええと…
でも沙羅には…嫌われたくない」

「え…。恭介それ…どういう…」


恭介は体を離し窓を見つめた。


「もうすぐ家や…」


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