素直じゃない契約
第14章 心の変化
ー…
「あの…理生くんはどこにいるんですか??」
あたしは運転手さんに尋ねてみた。
『理生坊っちゃんは榊家の別荘におります。
理生坊っちゃんが小さい頃よく遊びに行っておりましたので、馴染み深いからいるのかと思われます』
顔はいかついのに意外とダンディな声だったことに驚いた。
「そうなんですか…」
『…あまり余計なことは言えませんが、恭介さんは理生坊っちゃんのことを心配しているようです』
「…えぇ、そうみたいですよね。恭介は不器用ですからね…。分かりづらい」
その言葉に運転手さんはクスッと笑う。
『恭介さんの奥様が沙羅さんで良かったです』
その言葉に心が苦しくなって、
思わず顔をふせてしまった。
『…もうすぐ着きます』