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G線上のアリア

第3章 学校

「いや…逃げるなら、普段俺が寄らないとこだって思ってたから……美味しそうな弁当…」
「はぁ……」
「一口くれないか?俺チャイム鳴ってからずっと探しててご飯食べてないんだ」
答えるより先に、玉子焼きを摑んで口に運んでいる。
「いいよ…どうせ、全部食べきれないって思ってたとこだから、逆に助かるかな?……箸はこれしかないんだけど、司書さんに言えば割り箸あると思う……」
「んな面倒のこといいって!飯食わせてもらうんだし…サンキュー♪名前は?俺は榊学」
がつがつと隣に腰掛けて一気に食べる姿を、ほとんど呆然と見ていた夢叶の顔を見る。
「僕?一条夢叶だけど……そんなに急いで食べると喉つかえるよ…」

思わず心配して言ってみた夢叶だが、学は言葉と同時に一緒に置いていたお茶を手に取り、ぐいっと一気に煽り飲みされてしまい。思わず目が点になる。
「………大丈夫?」
思わず覗き込んで聞いてしまうほど、学は机上に蹲まっていたのだ。背中を摩るが、暫く反応がなくて―――どうしようとおろおろとした所で、ようやく学が顔を上げた。

「美味かった!マジにゴチッ!!」

来た時もどたどたとしたイメージがあったが、帰る時もなにやらどたどたと出て行く彼に、司書は鋭い声を投げたのだが、学は何処吹く風という風に手を振って颯爽と図書室を後にした。

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