G線上のアリア
第4章 夢は…
「じゃ、帰ろうか?」
「そうだな……」
二人は肩を並べて歩き、家路へと急いだ。寒さに肩をすぼめて手袋の上からも寒さが染みて来る。まだ一月の雨後の凍えた風だ。
「「ただいま」」
二人の声に顔を出したのは、一家の主婦であり妻と母親をしている静香。嬉しそうに二人を出迎えた。
「おかえり。今日はね、ちょっとだけ奮発ですよ!…焼肉です」
にっこりと笑う静香に、一番嬉しそうなのはやはり朔夜で、急いで室内へと入っていく。
「静香さんのが焼肉嬉しそうだよ」
喉を鳴らして笑うと静香は、そのまま台所へ戻りかけた足を止めて振り返る。
「だってお肉は私も好きよ。じゃー、朔夜君の分は私がもらっちゃおう!」
「あ!それは卑怯!俺だって肉は大好きだって!!」
「あらあら…そうそう…」
くすくすと戻る静香の後をついて行く朔夜が、可笑しくて楽しくて。つい夢叶が笑ってしまう。
「夢叶~~」
情けない声で振り返る朔夜に、夢叶は上着を脱ぎながら笑う。
「そうなったら、僕のお肉あげるから」
「絶対だぞーっ」
「あら、夢叶君はお母さんの敵になるのねー?いいわ、廉さんのお肉は私がもらうから」
きっぱりと言い切り嬉しそうに台所へ入っていく静香と、朔夜のやり取りを耳にしながら自室へと戻る。
思わず反芻してしまう妄想に、慌てて頭を振った。屋上へ差し掛かる階段で、男が男に絡むなんて………きっと可愛い女の子が似合うシチュエーションだと。それを想う度に切なさが、少し漂ってしまう。
《顔が女の子なら、胸つけてくれても神様良かったのに……》
思わず自分のがりがりに細い胸板を眺めてしまった。溜息さえ出そうになり、急いで着替える。
《さぶっ》
室温が冷たいこともあるが、自分がシャツ一枚ということに思わずくしゃみをしてしまった。トレーナとジーパンに変えて、学校用の服を持ち宿題をもう片手に持って下に行く。
風呂場へ持っていき、リビングへ足を踏み入れるとこたつの上に鉄板が置かれていた。
「こっちで食べるの?」
「だって冬だもの…宿題ならいつもの机でやってちょうだいね」
油と野菜を持ってきた静香に言われて、夢叶は仕方ないとばかりにそのまま踵を返した。
「そうだな……」
二人は肩を並べて歩き、家路へと急いだ。寒さに肩をすぼめて手袋の上からも寒さが染みて来る。まだ一月の雨後の凍えた風だ。
「「ただいま」」
二人の声に顔を出したのは、一家の主婦であり妻と母親をしている静香。嬉しそうに二人を出迎えた。
「おかえり。今日はね、ちょっとだけ奮発ですよ!…焼肉です」
にっこりと笑う静香に、一番嬉しそうなのはやはり朔夜で、急いで室内へと入っていく。
「静香さんのが焼肉嬉しそうだよ」
喉を鳴らして笑うと静香は、そのまま台所へ戻りかけた足を止めて振り返る。
「だってお肉は私も好きよ。じゃー、朔夜君の分は私がもらっちゃおう!」
「あ!それは卑怯!俺だって肉は大好きだって!!」
「あらあら…そうそう…」
くすくすと戻る静香の後をついて行く朔夜が、可笑しくて楽しくて。つい夢叶が笑ってしまう。
「夢叶~~」
情けない声で振り返る朔夜に、夢叶は上着を脱ぎながら笑う。
「そうなったら、僕のお肉あげるから」
「絶対だぞーっ」
「あら、夢叶君はお母さんの敵になるのねー?いいわ、廉さんのお肉は私がもらうから」
きっぱりと言い切り嬉しそうに台所へ入っていく静香と、朔夜のやり取りを耳にしながら自室へと戻る。
思わず反芻してしまう妄想に、慌てて頭を振った。屋上へ差し掛かる階段で、男が男に絡むなんて………きっと可愛い女の子が似合うシチュエーションだと。それを想う度に切なさが、少し漂ってしまう。
《顔が女の子なら、胸つけてくれても神様良かったのに……》
思わず自分のがりがりに細い胸板を眺めてしまった。溜息さえ出そうになり、急いで着替える。
《さぶっ》
室温が冷たいこともあるが、自分がシャツ一枚ということに思わずくしゃみをしてしまった。トレーナとジーパンに変えて、学校用の服を持ち宿題をもう片手に持って下に行く。
風呂場へ持っていき、リビングへ足を踏み入れるとこたつの上に鉄板が置かれていた。
「こっちで食べるの?」
「だって冬だもの…宿題ならいつもの机でやってちょうだいね」
油と野菜を持ってきた静香に言われて、夢叶は仕方ないとばかりにそのまま踵を返した。