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G線上のアリア

第8章 ひとりじゃない

「僕に癒せる力がある………?」
決死の覚悟で声にする。感情は微々たる変化を遂げていくように、体とてその変化を受け入れようとしているかに心音が強く耳の側で鳴っている気がした。
「………夢叶以外…居ない………」
吐き出したい気持ちを前に言った言葉に、偽りや嘘はなく―――直向にある慕情が、毅く胸を熱くしていた。

「夢叶が………欲しいんだ…」

言葉だけで足りない訳ではない。触れ合える体温を前に理性など意味はなく。誰かに縋りたくて縋りつくことが出来なくて、乾ききった砂漠の中を灼熱と寒威に佇むしか出来ないでいた自己が求めていた。
どんな言葉を並べてもきっと意味などないのだろう。どこか冷静な部分で、そう自分を嘲笑う己の存在を感じながら、朔夜は極限に緊張している夢叶の背中を抱きしめた。






笑うことも 泣くことも
出来ないで 耐えるしかなかった
小さな子供の自分が居て

その前に現れた

暖かな両腕を前に 子供は
泣き叫ぶことを 思い出した











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