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「今日は始業式だけだし…早く帰ってくるからね」
「じゃ、お昼何が食べたい？」
手早く流しにつけると、鞄を抱っこした二人に聞く。
「あっさりしたもの、が俺はいいかな…」
「僕もあっさりしたのがいいかなぁ」
二人の息子の言葉に「曖昧ね」と返して玄関まで同じように送ってくれる。
「いってらっしゃい」
静香は言葉と同時に夢叶の頬へ、まだ慣れない朔夜の頬へと唇を淡く寄せて離れる。
「文句は聞きませんからね？」
改めて言われる言葉に、朔夜はくくくっと笑った。

「大丈夫！静香さんのご飯美味しいから！」

行ってきますと、扉を開けて消えていく二人の背中を見送って静香は奥へと、母親として妻としての仕事へ入っていくのだ。

朔夜は長身で、さらっとした髪の美男子なので一発で転校生だと分かる。まぁ、制服がある学校ではないので、デニムのジーパンにシャツという井出達だが、独特の空気をやはり持っているのか。
学校へつくまで女性の視線をいくつも集めていた。
「職員室まで一緒しようか？」
夢叶もどちらかというと視線を集めるタイプなのか、二人が並んで歩いていると、道が『十戒』さながらに開く。
「ああ、そうしてくれるとありがたいね」
軽く笑って、背がけして高くない夢叶を撫でる。
「だからソレは嫌だってばー」
じゃれながら校門を潜り、夢叶は職員室までを案内した所で予鈴のチャイムが鳴った。