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あたしはその顔を隠すように顔にガーゼを被せた。
あたしはシャワーでカラー剤を落とし、順にシャンプーしていく。
「何ともって？」
「北澤さんのことまだ好きなんじゃないの？」
あたしは鼻で笑いながら、
「あー前も言ったじゃないですかー」
実は昔北澤さんのことを好きだった時期、誰にも相談もしてなかったのにも関わらず田橋さんには気づかれたことがあった。
あたしは絶対に認めなかったけど。
「北澤さんはどう思ってるかはわかんないけど、北澤さんて変わってるじゃない？あたしはあんたと北澤さん結構お似合いじゃないかと思うんだよね」
ガーゼでくぐもった声だが、多分、田橋さんはしたり顔だろう。
「それってあたしも変わり者ってことですか？」
「あ。そだねー」
「ひどっ！あたしはあんな変人じゃないですよ」
「付き合ってみたらー？」
もう、また好き勝手言いなさる。
「どこがどうなったらそんな状況になるんですか？……ないですよ」
「まー北澤さんだからねぇ」
そう言ってガーゼの下から陽気に笑う声が聞こえる。
あたしはシャワーを流し終わり、田橋さんの頭にタオルを巻く。
「はい、お疲れさまでしたー」
あたしはシャンプー台を起こす。
「はぁー、ありがとうー！ちょっと暗くなりすぎちゃったかなあ」
田橋さんはタオルを肩に引っかけ鏡の前に立つと髪色を確認した。
「暗くなる分はいいんじゃないですか？」
「だよねー♪練習来てたの？悪いね、あとは自分でやるから大丈夫だよー」
田橋さんはそう言って髪をドライヤーで乾かし始めた。
「いいですか？じゃああたし下にいるので」
「うん、ありがとねー♪」
田橋さんと手を振って階段に向かう。
付き合うかー……。まあ、北澤さんは今のところ誰ともそんな気ないだろうな。
まあ、よっぽど自分のタイプの人に告られたりしたらわかんないけど。
でも続かなそう……。
ふふっ……と、思わず笑ってしまう。