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「えいっ、たぁ……っ。えいたっ……っ！助けて……」
「美優？どうしたんだ？なにかあったのか？」
「あたしっ、……もう壊れちゃう。つらっ、くて、つらっくて……しょうがないのっ」
あたしは嗚咽が止まらなかった。
……苦しい、すごく苦しいよっ。
「おい、大丈夫か！？」
「…………っ。……ぃっ……」
「美優！？なにがあったんだよ？美優！」
栄太が怒鳴ってる。
「……いっ、まから、会えっる？」
あたしがやっとそう答えると、栄太は少し沈黙した。
電話の向こうでガチャガチャと食器の重なる音や、遠くで人の笑い声が聞こえた。
友達とご飯食べてるかな……。
あたしは無理矢理嗚咽を押し殺し、平静を装った。
「……ごめん。栄太。誰かとご飯か、飲み行ってるんでしょ？邪魔してごめんっ。……なんでも、……っないから。……じゃあ……」
「ちょっと待て！なんでもないことないだろうが！てか、お前…………今無理しただろ？俺の前で無理すんなっつったろ！」
「……だってっ。……っ」
「今ちょっと、友達と会ってるんだ。そのあとでもいいか？」
怒鳴っていても、栄太の優しさは伝わってきた。あたしは一度押さえた感情をもう押さえることはできなくて、感情のままに栄太に叫んでしまった。
「……いいっ。っ……それでもいいからっ。あたし、一人でいたくないの！今日はっ、……ひっく、今日はっ、一緒にいてほしいのっ」
「…………わかった。じゃあ、深夜一時ごろ、いつもの場所で……。いいか？」
少しの間のあと、栄太が優しく問いかけてくれた。
あたしは少しばかり心が穏やかになった気がした。
「うんっ……。いいよ……」
「お前、今、一人か？」
「そぉ……」
「大丈夫か？一人で？」
「……だって、っ…………しょうが、ないっでしょ？」
「……じゃあ、なるべく、俺早めに行くから。待ってて？」
「うん、……わかった」
「じゃあ……、運転気をつけろよ？」
「うん……」
電話を切った。
あたしは栄太との約束の時間まで、ただ、泣いていた。嗚咽は止まっても、涙は止まらなかった。
嗚咽が止まったところで母親には友達の家に泊まると連絡だけ入れといた。
あたしは、まだ平静でいられる今のうちに待ち合わせの場所に向かった。