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優しいキスをして

第2章 深まる傷。そして暴走

「あたしはどうなってたんだろうね?栄太と付き合ってたかなあ?」
「……どうかな。美優は俺なんか相手にしないんじゃない?」
あたしは栄太の方を振り向くと、栄太もこちらを向いた。
「なんで?」
「俺チビだから」
「っぷ。確かに」
「美優笑いすぎ」
あたしが肩を揺らして笑っていると、栄太が横目で少し睨んだ。栄太は170センチの身長にコンプレックスを感じているのだ。
「ごめん、ごめん!…………でも、栄太に会えてあたしはよかったと思ってるよ」
「……なんか、もう会えないみたいな感じだからやめろよ」
「……そう、だね」
あたしは俯いて伏し目がちに言った。
「……美優、もう少し寝ろよ。今日も仕事だろ?」
栄太がシーツを捲っておいでと手を振った。
「うん、そうする」
あたしはベッドに戻り、栄太が捲ってくれたスペースに滑り込む。
栄太は繊細な手つきでシーツを胸までかけてくれた。
あたしは栄太を見つめた。
「栄太」
「なに?」
「……キスして」
栄太は一瞬切なそうな顔をしたけど、すぐにキスをくれた。 徐々に深まっていくキス。そしてまた私たちはベッドに体を埋めていく。

栄太、ごめんね。
あんたがあたしを好きなことに今更気づいてしまったの。だから、これ以上あんたを振り回せない。あんたは優しいから、あたしはまたあんたを頼ってしまう。だから、もうこれで終わりにするから。
ごめんね、栄太。
ありがとう、さようなら。

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