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優しいキスをして

第2章 深まる傷。そして暴走

次の日の朝。
栄太は仕事が休みだったけど、あたしは今日も仕事のため、朝7時には栄太とあたしの車が停めてある駐車場に来た。
あたしはいつも通り、駐車場に着くとすぐに降りた。
「栄太ありがと、じゃあね」
あたしは素っ気ないくらいにいつものようにすぐにリモコンで自分の車の鍵を開けた。
「あ、美優!」
栄太が窓を開けて叫んだ。
「なに?」
「これで、最後じゃないよな?」
栄太……。
あたしはわざとらしいくらいにっこり笑って見せた。
「……何言ってんの!そんなことあるわけないでしょ?」
「そう、だよな。ごめん、じゃまたな!」
栄太はなんとなく曇った顔をしていたが、最後は屈託のない笑顔で笑った。
あたしは手を振って栄太の車を見送った。
あんたのその笑顔であたしは何回救われたことか…………。
あたしはこんなに汚れてしまってるのに。
栄太、あんたはいつも同じ笑顔であたしを癒してくれた。
栄太、嘘ついてごめんね。
あたし、栄太がいなくても耐えるから。
頑張るから。
さようなら、あたしの初めての人。

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