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優しいキスをして

第2章 深まる傷。そして暴走

ノブくんは少し唇を離して囁くように言った。
「これでも?」
妖しい目付きで至近距離からあたしを見つめる。
キスで火照ったあたしの顔は熱く、声も熱を帯びてしまう。
「……いいの?」
「だってずっと会いたかったんだもん。後ろおいで」
ノブくんの車はステーションワゴンで、後ろは潰してあるから大人二人が楽に横になれる。あたしも靴を脱いでノブくんに続いて後ろの席に移動した。
二人で向かい合わせで座る。
「お前は会いたくなかったの?」
「……クスッ。会いたかったよ」
あたしはノブくんの首に自分から腕を回し、唇を重ねた。
お互いにキスをしながらお互いの服を脱がしていく。ノブくんはあたしの片方の胸を触りながらあたしを押し倒した。
あたしの唇から離れるとノブくんはそのまま唇を下の方へ滑らせた。首筋、鎖骨へ少しずつ移動しながら軽くキスをしてあたしの体をどんどん敏感にしていく。
「昨日は誰かに抱かれたのか?」
少しくぐもった声でノブくんが言った。
「いいじゃない……そんなの」
口を完全に離し、今度は半裸のあたしの体をソフトタッチで撫でた。
「抱かれたんだろ?どこを触られた?」
ノブくんの瞳に少し嫉妬の焔が見えた。今更なに言って…………。
「なんでそんなこと……」
「全部俺のマークつけるから」
そう言ってあたしの左の乳首を口に含んだ。
あたしは喘ぐとともに体がビクッと震えた。
「こっちは?」
ノブくんはわざと音をさせて口を離すと、今度はもう片方の乳首を口に含んだ。
「……はっ、あぁん……」
あたしは弓なりに仰け反った。
「お前のその声、最高……」

今日もあたしは傷を埋めるべく男に抱かれる。
栄太に会わなくなって1カ月近く経っていた。あたしは心の支え、心の癒しだった栄太との関係を断ち、ますます男遊びが加速していた。朝起きると知らない男の部屋にいることも何度かあった。セフレも前よりも増えてしまった。
それでもまだあたしの傷は埋まらない。もしかして、あたしが男に抱かれるのは、一種のモルヒネのようなものなのかもしれない。その場の苦しみから逃げたいだけなのかもしれない…………。



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