優しいキスをして
第2章 深まる傷。そして暴走
「おー見事に荒れてんな、ジャンキー須藤」
一人でゆっくりしてたところに邪魔に入ってきたのはもちろん大沢さんだった。
この人はいつもチャラチャラしてて言ってることが冗談なのか本気なのかわからない。あたしはいつも適当にあしらっている。
あたしは横目で軽く睨んだ。
「あたし薬やってないですよ」
「お前見るたびに痩せてくな。ホントに薬やってんじゃないのか?」
あたしは大沢さんの言いぐさに思わず笑ってしまった。
「やってないですってっ。あんまり寝てないのとご飯食べてないだけですよ」
おちゃらけて大沢さんはヘラヘラ笑った。
「ヤってんのは男だけか?」
「そうですね」
あたしはにっこり笑った。
「まあ、程ほどにしとけよ? お前相当噂になってるかんな」
「噂?あたしが?」
「夜な夜な男を誘っては喰い漁ってすぐに捨ててるって」
あたしは爆笑してしまった。まさかそんな噂になってるとは。流したのはあんたじゃないのか?
「……フフッ。まあ、全く嘘ではないかなー」
「お前なー……」
大沢さんは呆れ顔だ。
「なんなら、大沢さんも一回喰われてみます?」
「お前なんかとヤるか、アホ!」
大沢さんはあたしの頭をバシッと思いっきり殴ると床屋のフロアに戻って行った。
「いったぁ……っ」
あたしが大沢さんとヤるわけないだろ……。冗談だよ、バーカ。
「須藤ー!今度は8番店行ってって竹井さんがー!」
入れ替わりに田橋さんがこっちへ歩きながら言ってきた。田橋さんは声が大きいからよく聞こえる。
「聞こえた?」
可愛らしくちょっと壁に隠れておどけて見せた。ちょっと癒される。
「はい。あと5分したら行きますね?」
あたしは田橋さんににこやかに笑った。
「須藤さー、大丈夫なの?」
「なにがですか?」
「あんたなんかさー、ここんとこおかしいよ」
田橋さんはそう言うと、あたしのすぐ向かいの椅子に座った。
「おかしい?」
あたしは目をぱちぱちしてしまった。
「なんてゆーか……、悲しげだよ」
田橋さんはいつもの陽気さを封印して続けた。
「悲しげ、ですか……」
あたしもその言葉に反応してしまう。
「なんか、あったんじゃない?」
あたしは苦笑した。
「……何も、ないですよ……」
あたしはそう言うと、大袈裟なくらい笑って見せた。
一人でゆっくりしてたところに邪魔に入ってきたのはもちろん大沢さんだった。
この人はいつもチャラチャラしてて言ってることが冗談なのか本気なのかわからない。あたしはいつも適当にあしらっている。
あたしは横目で軽く睨んだ。
「あたし薬やってないですよ」
「お前見るたびに痩せてくな。ホントに薬やってんじゃないのか?」
あたしは大沢さんの言いぐさに思わず笑ってしまった。
「やってないですってっ。あんまり寝てないのとご飯食べてないだけですよ」
おちゃらけて大沢さんはヘラヘラ笑った。
「ヤってんのは男だけか?」
「そうですね」
あたしはにっこり笑った。
「まあ、程ほどにしとけよ? お前相当噂になってるかんな」
「噂?あたしが?」
「夜な夜な男を誘っては喰い漁ってすぐに捨ててるって」
あたしは爆笑してしまった。まさかそんな噂になってるとは。流したのはあんたじゃないのか?
「……フフッ。まあ、全く嘘ではないかなー」
「お前なー……」
大沢さんは呆れ顔だ。
「なんなら、大沢さんも一回喰われてみます?」
「お前なんかとヤるか、アホ!」
大沢さんはあたしの頭をバシッと思いっきり殴ると床屋のフロアに戻って行った。
「いったぁ……っ」
あたしが大沢さんとヤるわけないだろ……。冗談だよ、バーカ。
「須藤ー!今度は8番店行ってって竹井さんがー!」
入れ替わりに田橋さんがこっちへ歩きながら言ってきた。田橋さんは声が大きいからよく聞こえる。
「聞こえた?」
可愛らしくちょっと壁に隠れておどけて見せた。ちょっと癒される。
「はい。あと5分したら行きますね?」
あたしは田橋さんににこやかに笑った。
「須藤さー、大丈夫なの?」
「なにがですか?」
「あんたなんかさー、ここんとこおかしいよ」
田橋さんはそう言うと、あたしのすぐ向かいの椅子に座った。
「おかしい?」
あたしは目をぱちぱちしてしまった。
「なんてゆーか……、悲しげだよ」
田橋さんはいつもの陽気さを封印して続けた。
「悲しげ、ですか……」
あたしもその言葉に反応してしまう。
「なんか、あったんじゃない?」
あたしは苦笑した。
「……何も、ないですよ……」
あたしはそう言うと、大袈裟なくらい笑って見せた。