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優しいキスをして

第3章 3度目のキス……美優の闇

ファミレスの席に座ると二人でとりあえず飲み物とフライドポテトとサラダを注文した。
「俺たちね、従兄弟なの」
マサキはニコニコしながら言った。
……あー、どうりで。それにしたって……。
「従兄弟ぐらいのつながりなの?あんまり似てるから兄弟かと思った」
「うん、よく言われる……ってゆーか比べられるっ」
「似てるから?」
「そうだよ!どいつもこいつも百夜、百夜ってさー!確かにあいつの方が俺より優秀さ。でも、俺は俺だ!そんなの関係ねえだろ!?」
んー、わかる気がする。
「そだね。比べる方が間違ってる。あたしも兄貴が優秀だから、比べられるのすごい嫌だった」
あたしはコーヒーを啜った。
「で?なんで別れたんだよ?」
「えっ?」
このマサキってやつは突飛とゆーか、性急というか、話がすぐに変わる。
「百夜と!なんかあったから別れたんでしょ?」
しかも、えらい短気だ。やっぱり百夜とは別人だなぁ。
そう思うと、気持ちが楽になった。
「あー…………」
「なに?なんか変な性癖があったとか?暴力振るわれたとか?」
あたしがなかなかしゃべらないのを変な誤解をしたらしく、目をキラキラさせて勢い込んできた。
でもあたしは、
「…………わかんない。最後まで、教えてくれなかった……」
気づけば勝手に涙が流れていた。
あたしは久しぶりにまた泣いてしまった。
「あぁー……泣くなよ。それって美優がフラれたってこと?」
「……うん」
マサキがめんどくさそうな顔をしている。
マサキは栄太と違って、女が泣くと嫌な顔をするタイプみたいだ。でも、今までになく真面目な顔で、あたしの声に耳を傾けていた。
「へぇ……、百夜がねぇ。あいつは出会いがナンパでも、遊びで付き合うとかなさそうだけどなぁ」
「付き合ってるときは、大事にしてくれてたけど」
あたしは冷静さを取り戻そうと、気を引き締めた。泣くもんかと思った。
「ふーん。………………ねえ?百夜のどこが好きだったの?」
あの時の百夜は…………。
「うーん。とにかく、優しかった。ちょっと強引なとこもあったけど、なにより…………」
「なにより?」
「……あたしの処女を大事にしてくれた」

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