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優しいキスをして

第3章 3度目のキス……美優の闇

絶対にその日は来ないとわかっていながらも、今でもあたしは百夜を求めてる。
「じゃあ、俺が忘れさせてあげる」
「……っ!」
「百夜のことなんて、俺が忘れさせてやるよ。"俺が"考えられないようにしてやる」
マサキの目にまた翳い焔が見えた。
あたしはマサキの危険な翳い視線に目を合わせていられず、俯いた。
あの目に引き込まれる……っ。
「……そんなことっ、しなくていい」
「どうしてもいや?思ったんだけど、美優は百夜に抱いてもらえなかったから余計に忘れられないんじゃないのか?」
「……そういうわけじゃ……っ」
目の前の悪魔が妖艶に囁いた。
「百夜に似ている俺に抱かれれば百夜のこと、吹っ切れるかもよ?百夜には抱いてもらえなかったんだろ?」
「そうだけど…………」
「じゃあ……今日は俺を百夜だと思ってもいいよ。特別に。その方が美優も本当は嬉しいんじゃない?」
「……そんなことっ……」
「まあ、それに関しちゃ俺も不本意だが、百夜が処女を奪えないくらい大事にしてた女を抱いてみたいしな。お互い、ギブアンドテイクだよ」
マサキにそう言われると、頭で考える前に口が答えていた。
「わかった……」
そのあとは、二人とも食べ終わるとファミレスを出て、まずあたしの車を停めてあるところに向かった。そこからはあたしも運転し、マサキの車の後ろからついていった。マサキが朝まで停められる場所を知っていると言ったからだ。
しばらくついていくとマサキは24時間営業のスーパーに車を停めた。そこであたしは適当なところに自分の車を停めて、降り、マサキの車に乗り込む。
あたしが車に乗るとマサキはすぐにあたしの唇を塞いだ。
……あたしはキスだけで感じてしまった。
百夜のキスに、感触がとても似ていたからだ。
「……はぁっ。……マサっ、キ……っ。ここ……、でっ、……んぅん。……する、のっ?……あぁっん……」
マサキは唇を少し離して、片方だけ口元を引き上げた。
「……まさか。じゃあ、行こうか」
マサキは妖しい笑みを浮かべてあたしを見た。
ファミレスを出てからのマサキは声も仕草も代わり、まるで自分の女を扱うようだった。
少しすると車は停まった。
「降りて?」
「うん……」

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