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優しいキスをして

第3章 3度目のキス……美優の闇

次の日は3番店に出勤だった。
昨日あれから病院にまっすぐ行くと、やはり膣内が少し傷ついてるとのことだった。
特に処置は必要ないが、細菌感染を防ぐため1週間はエッチは控えるように言われた。
腰も痛いため、数日はするつもりはなかったが、大したことなくてよかった。
今日は3番店の新人の菜月ちゃんと朝から一緒だったのだが、朝から暇で、助かった。もう夕方に近いというのに5人しか今日は来店がなかった。
しかし、ちょうど昼頃菜月ちゃんの親戚に不幸があったとかで、店に連絡が入った。菜月ちゃんをすぐに帰らせたが店にあたし一人になってしまったのでマネージャーの竹井さんに誰か代わりに寄越してくれるように応援を呼んだ。
夕方までは一人でどうにか切り抜けた。
今はお客は一人もいない。
あたしはバックルームで後ろに反り返って腰を延ばした。
「あーっ……っててっ。いってーっ……」
帰りに湿布買って帰ろー……。
立て付けの悪い裏口がガタガタした。
「お疲れさまー」
予想外の人が入ってきた。近くで顔を合わせたのはあの日以来、1カ月ぶりだった。
「えっ?北澤さんがきたの?」
「俺が来ちゃダメかよ」
あたしは意外すぎて何となく否定するように言ってしまった。
「いや、ダメってことないけど。自分とこ大丈夫なの?」
「今日は町田さんが最後まで居てくれるらしいから。それより、暇なの?」
なるほどー。町田さんがいるからきたのか。町田さんは何年も前から8番店に在籍してるパートさんで、いつも3時には帰るのだが、たまに最後までいてくれることもあった。
「そうだよ。今日は激暇」
「なーんだ。俺が来る必要ねえじゃん」
北澤さんは適当に道具セットと荷物を置くと、空いているイスに座った。
「あたしはてっきり新人あたりが来るかと思ったんだけどねー」
「ま、俺は帰りが近くなったから別にいいけど」
「でも、ちょうどいいとこに来たみたいよ」
あたしがちらっと入り口を見ると女子高生ぽい二人組が向かってくるのが見えた。

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