優しいキスをして
第4章 躯で躯を結ぶ
あたしと北澤さんは怪しまれない程度の距離に離れた。
「北澤くん!ちょっと話が……」
降りてきたのは案の定剣城さんだった。
剣城さんはエリアマネージャーで、北澤さんの1つ先輩。見た目はチャラそうだがとにかく真面目で、少し空気が読めないのが難点な、みんなが憧れる上司だった。
剣城さんは北澤さんと一緒にいたあたしを見てちょっと驚いていた。
あたしは内心、えっ?なに驚いてんの?と思いながらもいつも通り『お疲れさまでーす』と言った。
北澤さんもいつもの様子だった。
「剣城さん、なんですか?」
剣城さんはあたしたちを交互に見ると表情を固くした。業務後のヘラヘラした雰囲気ではなく、中身通りいっそう真面目な顔になった。
これは、なんかヤバそう……。
そんな気がした。
剣城さんが重苦しそうに口を開いた。
マネージャーの顔だ。
「須藤も一緒だったか、ちょうどいい。ちょっと話があるんだ」
「え?」
「お前たち、昨日言い争ったあと二人でどこ行ったんだ。もしかして……」
あー、これはヤバい展開……。
……バレた?でもあの時はだいぶみんなが居たとこより離れていたし、車の走る音でそんなに聞こえないはず……。
「普通に飯行っただけですよ?」
北澤さんが横でさらっと言った。あたしも流れに便乗して、それらしい言い訳を付け加えた。
「はい、ご飯食べ行って。あと、ちょっと怒られただけです」
「怒られた?」
剣城さんは少し眉間に皺が寄った。
よし、食いついたな。
「はい。あたしがあまりに遊び歩いてばっかりで練習しないので、ちゃんとしろって怒られただけです」
真剣な顔であたしの言葉を聞くと、剣城さんは北澤さんにすぐに向き直った。
「北澤くん、ホントか?」
「はい」
北澤さんは最もらしい顔をしている。
北澤さんは敢えて何も語る気はないようだ。
しゃべるとボロが出やすいのを自分でわかってるみたいだ。
剣城さんはしばらくじっーとあたしたちを見ると、深くため息をついた。
「…………。そうか、ほっとしたよ。お前らがデキてると思って、さ。デキてる二人をさすがに夕方二人にさせるわけにはいかないからな」
「北澤くん!ちょっと話が……」
降りてきたのは案の定剣城さんだった。
剣城さんはエリアマネージャーで、北澤さんの1つ先輩。見た目はチャラそうだがとにかく真面目で、少し空気が読めないのが難点な、みんなが憧れる上司だった。
剣城さんは北澤さんと一緒にいたあたしを見てちょっと驚いていた。
あたしは内心、えっ?なに驚いてんの?と思いながらもいつも通り『お疲れさまでーす』と言った。
北澤さんもいつもの様子だった。
「剣城さん、なんですか?」
剣城さんはあたしたちを交互に見ると表情を固くした。業務後のヘラヘラした雰囲気ではなく、中身通りいっそう真面目な顔になった。
これは、なんかヤバそう……。
そんな気がした。
剣城さんが重苦しそうに口を開いた。
マネージャーの顔だ。
「須藤も一緒だったか、ちょうどいい。ちょっと話があるんだ」
「え?」
「お前たち、昨日言い争ったあと二人でどこ行ったんだ。もしかして……」
あー、これはヤバい展開……。
……バレた?でもあの時はだいぶみんなが居たとこより離れていたし、車の走る音でそんなに聞こえないはず……。
「普通に飯行っただけですよ?」
北澤さんが横でさらっと言った。あたしも流れに便乗して、それらしい言い訳を付け加えた。
「はい、ご飯食べ行って。あと、ちょっと怒られただけです」
「怒られた?」
剣城さんは少し眉間に皺が寄った。
よし、食いついたな。
「はい。あたしがあまりに遊び歩いてばっかりで練習しないので、ちゃんとしろって怒られただけです」
真剣な顔であたしの言葉を聞くと、剣城さんは北澤さんにすぐに向き直った。
「北澤くん、ホントか?」
「はい」
北澤さんは最もらしい顔をしている。
北澤さんは敢えて何も語る気はないようだ。
しゃべるとボロが出やすいのを自分でわかってるみたいだ。
剣城さんはしばらくじっーとあたしたちを見ると、深くため息をついた。
「…………。そうか、ほっとしたよ。お前らがデキてると思って、さ。デキてる二人をさすがに夕方二人にさせるわけにはいかないからな」