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優しいキスをして

第4章 躯で躯を結ぶ

「「「え?」」」
あたしと大沢さんと田橋さんは3人でハモった。
ええええええぇぇぇ!!!
なんで言うの!?
「今日もこれから行くところ」
北澤さんは自分の首の後ろに手をやってしれーっと言った。
あたしの頭はパニックだった。もう何がなんだか…………
「ちょっ、なに言って……っ」
北澤さんは片手であたしの言葉を制した。
「お前らははっきり言わないとこそこそかぎ回ってうるさいからな。言っといた方がましだ」
「だからって……」
あたしが言いかけると北澤さんがかぶせて言った。
「こいつらに話し聞かれて簡単に誤魔化せると思う?」
「そうだけど……」
まあ、確かに……。
ここで誤魔化してもその後もこの二人にしつこく問いただされるのは目に見えてる。
「じゃあ、じゃあ!やっぱり二人は昨日からデキてんの?」
田橋さんが興奮しながら言った。両手を自分の頬に当てて息を飲んでる。
北澤さんはめんどくさそうに言った。
「ああ、そうだよ……」
「マジ!?超ウケるっ」
大沢さんはあたしと北澤さんを交互に見ながら、やっぱり興奮してる。
あたしは注目されてなんだかこっ恥ずかしくて両手で顔を覆った。
もう~、恥ずかしいよーっ。
……でも、嬉しいかも……。
北澤さんを指の間からちらっと見ると、堂々としてた。
あたしなんかが彼女でも、恥ずかしいと思わないんだね……。
「須藤よかったねー!あたしゃ嬉しいよ!」
田橋さんは泣き真似かホントに泣いてるのか、目に手を当ててた。
田橋さん、心配してくれてたもんね……。
ありがとう……。
北澤さんは大沢さんと田橋さんを軽く睨んで言った。
「だから、ジャマすんな。あと、誰かにしゃべったらただじゃおかないからな」
「「はーい」」
二人の先輩は小学生みたいに揃って右手を上げた。
北澤さんはそれを見ると、気が済んだみたいだった。さっさとあたしの肩を抱き、ドアを開いた。
「えっ?ちょっと……」
大沢さんと田橋さん超見てるよーっ。
「じゃあな、お疲れ」
あたしは北澤さんに抱え込まれたまま外に出た。
駐車場を歩きながらあたしが言った。
「なんでわざわざ肩抱いたの?大沢さんたちの前で」
「ダメ?お前が恥ずかしそうにしてるから見せつけてやったの」
北澤さんて、意外と独占欲強いのかな…………。

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