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優しいキスをして

第4章 躯で躯を結ぶ

…………


「酔っ払った?」
「んー、そうかもー……」
居酒屋を出た時はそうでもなかったのに、あたしは疲れと寝不足のせいかホテルに着くころにはかなり酔いが回ってしまった。
北澤さんが部屋のドアを開けると、靴を履いたままあたしはベッドにダイブした。
「はあん、気持ちー」
体がふわぁーんとしてる。お酒で火照った体にふとんの冷たさが心地よかった。
「超エロいんですけど」
北澤さんは荷物を置きながら笑った。
「なあに、別にエロいことしてないよぉ」
あたしは横になったまま片手を頬杖した。
「言い方も顔も動きもヤバいって」
「そうお?」
「どうする?まだ飲む?」
北澤さんはソファに座るとさっきホテルに来る前に買った酒類を前のテーブルに並べた。
「んー、飲むー♪」
あたしはノタノタ起き上がり、隣に座った。
二人で改めて乾杯すると、北澤さんはビールをぐいっと飲んだ。
ここまで運転してきた北澤さんはあたしに飲んでいいと言って自分は店で飲んでなかった。
お酒を飲んでる北澤さんを初めて見た。
やっぱり一目惚れしただけのことはあるなぁ…………。いつもかっこいい。
横顔にボーッと見とれた。
「北澤さん、酒強そうだね」
「まあそこそこね。てゆーかやっぱり酒入ると……」
北澤さんがあたしをじーっ……と見つめた。
「……??」
「ヤバい。俺と一緒のときしか飲んじゃダメ」
「えぇー?なんでー?」
「お前まちがいなくお持ち帰りだよ」
そう言ってまた一口ビールをあおった。
お持ち帰り?あたしが?…………。
あっはっはっ♪とあたしは陽気に笑った。
「だーい丈夫だって!その気になれば男の一人や二人あたし殴れるし」
「本気で言ってんの?男の力に敵うわけないだろ?」
「あたしに限ってそんなこと…………」
次の瞬間、肩を少し押されたと思って気がつくとあたしはソファに仰向けに倒され、北澤さんがあたしに覆い被さるような格好になっていた。
「……ないって?この状況で?」
北澤さんはしたり顔だ。口の端だけ上げて余裕げな顔をしている。
あたしはむぅ~と唸って、ソファの肘掛けに掴まって無理矢理体を起こした。
「だって、いきなりなんだもん」

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