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優しいキスをして

第5章 闇の向こうの光

「今日は、……何回していい…………?」
妖しい響きで耳元で呟いた。
あたしはそれだけでゾクッとしてしまう。
今、2ラウンド目がようやく終わったところだった。
あれから、もつれ合うようにキスをするとお互いに気持ちが抑えられなくてお店で一度だけ重なってしまった。
お店にいつまでもいるわけにも行かず、とりあえず一番近くのホテルに入った。
そして、シャワーも浴びずにまた重なった…………。
「そんな……まだ、イッたばっかりだもん……」
あたしはいまだに熱い体をもて余していた。
すでに何度か達している体は一糸纏わぬ姿だというのに高熱があるかのように熱くてたまらない……。
あたしが胸にうずまって小さな声で言うのに、北澤さんは耳元で熱くせつなく囁いた。
「まだ…………足りないよ」
「…………っ」
「もっとお前が欲しい……」
北澤さんは熱っぽく言った。
あたしはまたゾクッとしてしまう。
また、快楽の坩堝に身を委ねると思うとまたあたしの中心は疼き始めたが、あたしはそれをひた隠しにしていたずらっぽく言った。
「まだ、夜は長いんだよ……?」
「…………ダメ。俺、欲しくてたまらない」
北澤さんはあたしの体を強く抱いた。
「お前がもっと欲しくてたまらない……。俺、どうしちゃったんだろ…………今日は歯止め利かなそう」
あたしはックスと笑うと体を委ねたまま、言った。
「……ねえ?言って?」
あたしは北澤さんの腕をぎゅっと掴んだ。
「あたしのこと、好き?」
「…………好き、なんて言葉じゃ足りないかも。…………」
北澤さんは思い当たる言葉を考えているようだったけど、あたしは素直に嬉しかった。
「……嬉しい」
あたしは気持ちをそのまま口に出すと、ぴったりと北澤さんの胸に頬を付けた。
こうしているとすごく落ち着く……。
北澤さんのゆっくりで規則的な鼓動を感じる。
ここが、あたしの居場所だ……。
「……っ。……愛してる、かな。……うん、そうだ」
暫く黙っていた北澤さんがあたしの頭の上でポツリと呟いた。
……いまっ// なんてっ//……?
「…………っ」
あたしは驚いて目を見開いた。
「愛してる…………。美優」
北澤さんはあたしの額に軽くキスをした。
 

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