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囚虜の涙

第2章 日常と異変



「…おい。拓人。」

俺を呼ぶ声が聞こえる。

この声は…

「…はや…て?」

微睡みの中、薄く目を開ける。
ぼやける視界に映るのは不機嫌そうな幼馴染の顔。

「…いつになったら、起きるんだ?」

いつになく不機嫌そうな疾風は愚痴を零した。

ここまで機嫌が悪いのがどうしてなのか気になる…。
一度、気になると頭から離れなくなるものだから仕方なく問いかけてみる。

「なんで…そんな不機嫌そうなの?」

「…はぁ。」

どうやら愚問だったらしい。ため息が頭の上から聞こえてきた。それで今になっておかしいと気付く。

なんで疾風の顔が目の前に?

確か…リビングの床に寝そべったら眠くて寝たような気がするが。その証拠に身体は軋むように痛む。

ただ頭は枕のおかげで痛くない。そして足元にはタオルケットがそっと掛けられていた。

疾風が枕とタオルケットを用意してくれたのかな?

いや、でも、それなら疾風の顔が目の前にあるのがおかしい…。

やはり寝起きは上手く頭が回らない。



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