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囚虜の涙

第2章 日常と異変

「拓人。起きてる?さっきの授業聞いてなかったんだろ?ほら…」


小さい頃からいつも聞いてきた声。何度聞いても飽きない声。
その声と共に疾風はノートを俺に渡してきた。

「…疾風。やっぱ、落ち着くな…。」

「…ん?なんか言ったか?」

俺の呟いた言葉は聞こえなかったようだ。聞こえなくて正解だ。もし、少しでも聞こえていたら恥ずかしくて顔を合わせられない。

「いや、なんでもない。それより、ノート!!サンキュー!ホントいつも助かる。」

さっきの言葉はどうにか誤魔化した。訝しげな顔をした疾風に悪いと思いながら話をそらす。

変に追求されたらバレてしまう。
俺は嘘を付くのがニガテだから…。

「本当。都合のいい奴だよな…お前。そんなんじゃ、いつか…」

疾風の語尾が小さくなっていく。

不思議に思ったが聞かない方が良いような気がする。
結局、悩んでいるうちにタイミングを逃した。

「じゃあ、帰りますか〜。疾風、行こーぜ!今日は何処寄ってく?」

話は寄り道する場所について。


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