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囚虜の涙

第2章 日常と異変

「拓人?大丈夫か?」

疾風が俺の足元を見て歩を緩める。

何故、疾風が歩を緩めたのか?
その理由は考えるまでもなかった。

考え事をしていたせいで俺は疾風よりも歩くのが遅くなったのだ。

「ぁ…悪い。ちょっと考え事してた。」

これは俺が100%悪い。普段は素直に謝ることなど出来ないけど、今は自然と言葉が出た。

「…お前がそんな素直に謝るなんて…頭打ったのか?一回、病院行った方が」

「なんだよ!酷いな…!俺ってそんなに素直じゃない?」

疾風の言葉を遮るように言って、いつも通りの調子に戻した。

「ん。やっぱ、そのバカな感じの拓人が一番だわ。素直なんて調子狂う。」

心配そうに俺をみていた疾風の顔はいつも通りの爽やかな笑顔になっていた。
そして、鋭い一言もいつも通り。

「それも、酷い〜。」

落胆したような声音で言う。

疾風も酷いよな。幼馴染だからってこんな風に毒を吐かなくても…。


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